民話と信仰の山
遠野物語などにもみられるように、早池峰山は民話の舞台として特別な存在。度々訪れたという宮沢賢治も、早池峰山域から多くの創造性を得ていたのではなかろうか。「どんぐりと山猫」はまさに当地をモチーフにしたとされる。
早池峰山は修験者の信仰の山とされ、早池峰山頂から近い、早池峰剣ヶ峰を訪れてもそのことが見て取れる。伝承されている「早池峰神楽」も山伏による神楽がもとであるそう。また、はるか東、宮古などの漁民にとっても船の安全と豊漁を祈る信仰の山とされてきたという。
早池峰登山
朝5時、河原坊コースから登りはじめる。樹林帯を抜けて高度が上がると、さまざまな高山植物の花が岩場を彩っていた。
朝日でしだいに鮮やかになっていく花々に出会いながら、岩場を登り続け、約二時間余りで登頂。
雲海の向こうに岩手山まで見える。静謐なひととき。
信仰の山とされる早池峰山は、一般登山者にとっても、一度訪れれば、きっと特別な存在として魅了されてしまうのではないだろうか。
※2021年4月現在、河原坊コースは通行止めとなっているようです。
後日談
頂上で圧倒的な自然に感服しているところに、続いての登頂者(Sさん)。岡山県からいらした葡萄農家の方。2011の春には、岩手県野田村でのボランティア活動に入られていたとのことで、震災や山のことなど暫く話し込んだ。
(後日「藤稔(ふじみのり)」という、とびきり甘くてみずみずしい葡萄を送っていただいたのだが、これが最高に美味しかった)
※頂上での思い出を共有したSさんは、その後、各地の山登りを楽しんでおられましたが、2015年に残念ながら急逝されました。 奥様がその知らせとともに葡萄(ピオーネ)を送ってくださいました。大変な時代に、Sさんは、葡萄にたくして何か言葉を投げかけてくださった気がします。初心にかえろうと思いを新たにしました。
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